「ホームレス」 札幌には105人−昨年の冬から倍増−
7月23日(日)に、札幌市内各所で路上生活者の実数を把握する調査を実施しました。
今回のような目視による調査は、昨年11月9日(53名確認)に続いて2回目のものです。
調査では、105人の路上で生活する人々を確認しましたが、これは、昨年の調査の倍の数字になります。
この結果は、これまで首都圏や大都市圏を中心に見られていた「ホームレス問題」の「地方化」を示すものなのか、
ここでは速報として調査結果を簡単に報告します。
今回の調査は、「北海道の労働と福祉を考える会」の会員ほか33名の有志によって、
7月23日の早朝、第一次(AM4:30〜6:00)、第二次(AM8:00〜10:00)、
二回に分けて調査員が市内各所で行いました。調査した場所は以下です。
早朝に調査したのは、路上生活者を目視で見分けることを容易にするためです。
また調査場所は、事前に当事者から可能性の高い「寝場所」を聞き取って選びました。
- 第一次調査(4:30〜)JR札幌駅構内、札幌駅前バスターミナル(そごうデパート下)、大通り公園・狸小路、JR札幌駅〜桑園駅の高架下公園、円山公園、中島公園、豊平川河川敷
- 第二次調査(8:00〜)円山公園を除く上記に加え、地下鉄三線の主要駅(大きなバスターミナルがある駅)、JR桑園駅、琴似駅・新琴似駅、月寒公園、平岸霊園、真駒内公園
調査結果を表で表してみましたので、ご覧下さい。結果としては、昨年の冬の調査と比較して倍近くの数が確認され
またJR札幌駅周辺や地下鉄大通駅周辺という都心に集中している事がわかりました。
札幌駅周辺 | 大通公園周辺 | 中島公園 | 円山公園 | 真駒内・月寒・平岸 | JR線各駅 | 南北線 | 東西線 | 東豊線 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一次調査 | 50 | 45 | 2 | 8 | - | - | - | - | - | 105 |
二次調査 | 35 | 44 | 7 | - | 0 | 0 | 1 | 7 | 0 | 94 |
この事実は、札幌の「ホームレス」問題の規模が拡大しているかもしれないこと、
冬季と夏季では規模の変動するという特徴があるかもしれないこと、
東京や大阪では「ホームレス」の生活の有力な場である都市公園が札幌の場合何らかの理由で住みにくいのかもしれないこと、
等等様々な推測を成り立たせますが、これらの推測はもちろん、安易に結論付けることはできません。
但し、現在の札幌で100名以上の方が、野宿生活を強いられているという事実は、
札幌の「ホームレス」問題がきわめて少数の当事者をめぐる例外的な現象としてではなく、
無視することができない深刻な問題としてあることを示唆します。
さらに、調査を通じて聞き取った当事者情報では、200〜300人という実数推定もありました。
他に確認された点は、他地域では報告されている女性の路上生活者を若干名確認したこと、
またかなり早い時間から路上で生活する人々が活動(移動)していることが挙げられます。
大雨のなか早朝から調査に参加してくださった皆さん、
また、不躾な調査に協力くださった当事者の方々に心から感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。特に、今回の調査は、
野宿をする当事者の方々からいただいたご協力とアドバイスに負うところが多く、
昨年冬に行ったときよりスムースに調査を実施することができました。
また、調査中、何人かの当事者の中から、私たちの活動を「知ってる」、「ご苦労様」といわれ、
私たちの支援活動が認知され始めているのでは?と感じ勇気づけられたことを自惚れた私感ではありますが、
最後に付け加えておきます。
(文章:佐々木 宏(北海道大学大学院教育学研究科助手、北海道の労働と福祉を考える会副代表))