10月19日総合相談会−札幌初の医療、雇用、生活に関する相談会を市と共催しました!
昨年10月19日に、初めて札幌市と支援団体が共催する形で「炊き出し・総合相談会」が開かれました。
まず、流れは午前中に健康診断、お昼に炊き出し、午後から総合相談の順で進められました。
また、労福会のメンバーは見学を含め30名弱の方が参加し、北海道民主医療機関連合会(民医連)のドクターも参加くださいました。
一方、札幌市側の体制としては終日保護指導課の職員5名が対応にあたったのに加え、
午前の健康診断には結核予防会などから15名程が参加しました。それから午後の総合相談会には、
ハローワーク札幌などから3名が出て就労相談をし、区役所の保護課から6名が出て生活・福祉相談をしました。
また、札幌弁護士会の人権擁護委員会から3名が出て法律相談が行われました。
なお、在札「ホームレス」支援団体・NPOハンドインハンドの方4名も午後から参加しました。
ところで午前中健診を受けられた当事者の方が約50名、お昼からの炊き出し時点で122名、
午後からの相談を受けられた方は延べ40名ほどでした。それから翌週より区役所に保護同伴を希望する方が20名弱おり、
労福会とハンドインハンドさんが対応することになりました。またその結果、大半の方につき生保受給が決定しました。
さらに、11月15日に健診結果の返却のため実施した炊き出しでは88名の方が来場し、
そのうち検診を受けた方の半数近くに診断結果を返却することができました。
ここからは私見ですが、まず19日は成功したといえます。
というのは、第一に、市が実態に直面するきっかけになり、多くの機関を巻き込めたということ。
第二に、生保申請につき以前より柔軟な取り扱いを引き出せたこと。第三に、次の施策への期待が持てたことが挙げられます。
また、市民へのアピールや支援団体の連携の観点からもプラスになったと思います。
しかし、当事者にとって真に価値あるオプションを増やしていくには、
やはりもっと多くの人間なり機関なりを巻き込んでいく必要があると思いました。
文:安部薫道(事務局長)
11月15日に健診結果を通知するための「炊き出し」を開催しました。
11月15日に、炊き出しと相談会を開きました。内容は、健康診断の結果配布、
物資配布(おにぎり、豚汁、風呂券、缶詰、タオル、石鹸、靴下、歯ブラシ)、
健康相談(ボランティアの医師による)、マッサージ、衣料品配布、生活保護相談コーナー、区役所・病院同伴調整でした。
当日の来場者は88人とでした。ますます寒くなっている気候にもかかわらず、札幌の路上生活者は一定以下に減ることはないようです。
また、先月の総合相談会のあと、何人もの路上生活者が生活保護を受けて路上を脱したことを考えると、
すでに居宅に移った元・路上生活者がこういった企画に訪れているのだろうと思います。
このうち、先月の健康診断を受けた39人中、25人に結果を配布することができました。
配布の仕方をマイクで名前を呼んで取りに来てもらうというものにしたため、
もしかして名前を呼ばれるのが嫌で取りに来ない人もいたのではないかとあとで反省する結果になってしまいました。
結果をもらった人については、市の保健士とボランティアの医師とで結果について分かりやすく説明し、
必要であれば病院・市役所に行くことになります。希望した8人には労福会のスタッフが同伴してついていくことになりました。
マッサージコーナーは、民医連さんの紹介で道視覚障害者協議会の方にボランティアできてもらうという、労福会初めての試みとして行いました。
何人か積極的にマッサージをしてもらった方は、とても気持ちよかったと言ってくれましたが、
その他多くの方には「俺はいいよ」と言って断られてしまいました。
これは初めての試みであったこともありますが、体に触れられるのが嫌だったり、体臭が気になるためかもしれません。
しかし道視覚障害者協議会の方々は、「何度もやるうちに来るようになるでしょう」と前向きにとらえてくれ、これからも呼ばれれば来たい、と言ってくれました。
また、必要とする声が多い散髪企画に、北海道商工団体連合会の方が協力できるかもしれないと言うことで今回視察に来てくれました。
教会の方からはいつも通りたくさんの衣料品の協力がありました。こうして、いろいろな方面から協力していただけるのは本当にありがたいです。
労福会だけではできないことが、ずいぶんフォローされていると感じます。
他に、健康診断や前回の企画とは無関係に、生活保護説明コーナーを設けました。
ここには労福会副代表(佐々木)をはじめ、少し法律にも詳しいスタッフを置きましたが、
予想以上にニーズが高かったようで、ここから同伴を希望する人も出ました。
しかし、予想外だったため相談後の対応にうまく引き継げなかったのが反省点です。
毎回行っている健康相談コーナーでは、先月に大規模な健康診断を行ったこともあってか今回の利用者は3人と少なめでした。
しかし、その中でも不整脈・狭心症などの厳しい状況にある方もいて(その方は先月の健康診断は受けなかったそうです)、
こうやって健康の面で毎回相談窓口を設けておくというのは大切だなと改めて感じました。
このように、細かい点でいくつも反省点の出た今回の企画ですが、全体として大きな混乱はなく、
来てくれた路上生活者の方にも喜んでもらえる企画になったと思います。
毎回少しずつ改善されて、これからも続いていければよいと思いました。
文:椎名結実 (副事務局長)
冬の「ホームレス」概数調査の結果:今年は札幌市からの委託調査となりました
12月13日、午前四時から、労福会恒例の人数確認調査を行いました。
今回の調査は、札幌市の委託を受けるという形で行いました。
参加者は労福会のメンバー26名と、市役所の職員5名が合同で行う形になりました。
調査場所 | 人数(人) |
---|---|
札幌駅 | 29 |
大通り公園・狸小路 | 44 |
中島公園・すすきの | 1 |
地下鉄南北線 | 1 |
地下鉄東西線 | 0 |
地下鉄東豊線 | 0 |
JR駅 | 1 |
その他公園 | 0 |
豊平側河川敷 | 15 |
合計 | 91 |
ボランティアの声−労福会の活動に参加して
11月15日「炊き出し」について:石山神二さん(北海道大学教育学部3年)
私はちょうど1年前くらいから労福会のお手伝いをさせてもらっていますが、
それは人数調査やビラ配りが中心であり、今回初めて炊き出しや健康相談などが行われる支援企画に参加しました。
当日の私の仕事は事前に行われた健康診断の結果をホームレスの方の了解を得て一緒に聞き、メモを取るというものでした。
偶然かもしれませんが、私が一緒に結果を聞いた方は皆、病院で一度検査を受けたほうが良いと言われ、
ホームレスの方の健康状態が予想以上に悪い事に気づかされました。
外見は健康的に見える人であっても偏った食生活や、衛生面、精神的ストレスなどによる悪影響は非常に大きいと思います。
医師やその他の専門家との連携、協力がやはり必要だと感じました。嬉しいことに、
診断の結果を説明して下さった医師の方々が協力的だったので、今後もこの関係が維持、そして発展していけばいいなと思います。
また、今回初めて一人でホームレスの方と色々な話をすることができました。
今までは二人一組でホームレスの方から話を聞くことが多く、さらに会話を聞いているだけの多かった私にとっては新鮮でした。
言い方は悪いかもしれませんが、ホームレスの方は特別な人ではなく、「普通の人」だと会話を通じてより感じるようになりました。
この企画に参加して様々な経験をさせてもらったと思います。
概数調査に参加して:菅原真理子さん:(北海道大学教育学部3年)
ホームレス人数調査に参加したのは昨冬に引き続き二回目でしたが、やはり一番強く感じたのは、全体としての確認人数の多さでした。
労福や教会の方々の活動により居宅生活に移行することのできた方が多いと聞いていたので、
全体数の減少が少しは見られるのではないかと思っていたのですが、実際には数の変化があまり見られないことに驚きました。
それだけ多くの人々が新たに路上生活に追い込まれているということなのでしょう。この問題の深刻さを感じずにはいられませんでした。
今年の冬は例年より寒さが緩いとはいえ、早朝の調査では北海道の冬の厳しさを身をもって実感しました。
私が調査担当だった公園ではホームレスの方は一人も確認できなかったのですが、
あの公園とさほど変わらないような場所で寒さをしのぐことを想像すると、それだけで寒気がしてしまうようです。
自分では何もしていないのに無責任かもしれませんが、
単純に、一人でも多くの人が暖かい所で冬を過ごすことができればいいのにと思いました。